cartaphilium

La prière la plus solitaire est ainsi la plus solidaire des autres.

自選短歌(1)

私の作った短歌で特に気に入っているやつを選んでみた。
だいたい2019年くらいから最近までのもので、Twitterに投稿するのもなんか気恥ずかしいからとiPhoneのメモアプリでしばらく眠っていたものも多い。というかほとんどである。
各句の並びは適当なので、年代順ってわけでもない。
(1)なのは続きの余地を残すためで、すぐに(2)が更新される予定はいまのところない。

 

 

 

 

 

ハッピーバースデー今日はおめでたい日なので天使がそこでパンを焼いてる

 

幸運の女神様に気に入られたい 二度あることは三度あるべき

 

新しき年の初めに会う顔に仄かさす紅都会まちの早や梅*1

 

目が覚めてカーテンから射しこむひかりがすこし明るいそういう祈り

 

あえてこたつで寝る柔らかいベッドは少しぼくには優しすぎるから

 

九十九里浜をひたすら南へと歩いて歩いて歩いて歩く*2

 

今日の夜ごはんは君の大好きな......(君の顔ってどんなのだっけ)*3

 

気がつけば残らず消えた夏の跡 彼岸だねもうそこにはいない

 

「いつかまた」そうして君は去っていき僕はひとりで夜はただ秋

 

二分先指示系統を失って手と足と目は晴れてさよなら

 

もしかして私の命があるかもと 凪の浜辺を歩いてみたり

 

喪を果たす/リクライニングする/夜を束ねてしまう/明け星をみる

 

ゆっくりと皮膚を蝕む透明に輪郭でさえ消えてなくなる

 

つま先でなぞる昼顔東京に明日はあるの「夏には帰る」

 

このたかが三十一の言の葉にひとの個性が出づるものかは

 

 

*1:初出は「新春いちごつみ」

https://twitter.com/YukariKousaka/status/1486908395605028864

*2:初出は「固有名詞短歌」

https://twitter.com/YukariKousaka/status/1413110383301120001

*3:初出は「君の顔ってどんなのだっけ短歌」

https://twitter.com/YukariKousaka/status/1395211205191471106